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技術ドキュメントにおける every の用例

前回のeachに関して書きましたが、今回はeveryについて書きたいと思います。

 

everyは、「どの~もみな」、「あらゆる」などの意味で用います。eachと類似する単語です。ただし、eachは個別に焦点を当てていますが、 everyは個別に全てに焦点を当てています。everyとeachは置き換え可能な場合がありますが、できない場合もあるので注意が必要です。

 

everyの使用上の注意点を技術的な例文を使って説明します。 

 

🔷 eachと置き換え可能な場合

eachとeveryが差し替え可能な場合があります。以下の例では、eachを使っても、everyを使っても同じような意味になります。

 

Hold the part down with tweezers while you solder each pin to a pad.
各ピンをパッドにはんだ付けするときは、ピンセットで部品を押さえます。

 

Hold the part down with tweezers while you solder every pin to a pad.
どのピンもパッドにはんだ付けするときは、ピンセットで部品を押さえます。

 

 

🔷 eachと置き換えできない場合

1)eachは2つあるいは2人以上のグループの個々について述べるのに対して、everyは3つあるいは3人以上のグループについて述べる点が違います。

 

以下は、everyの誤用の例を示しています。バッテリーの端子は、プラス端子とマイナス端子の2つなので、everyは使えません。

 

バッテリーの端子を順番に取り外してください。

〇 Disconnect each battery terminal in turn.

☓ Disconnect every battery terminal in turn.

 

2)eachは代名詞として使うことができますが(代名詞用法)、everyは代名詞として使えません。例えば、「each of」を、「every of」 に置き換えことはできません。「every one of」という形で書く必要があります。

 

例1:

各メンバーは Linux マシンを持ってます。

〇 Each of our members has a Linux machine.
☓ Every of our members has a Linux machine.

〇 Every one of our members has a Linux machine.

 

例2:

このシステムは、さまざまな順次処理のオプションを提供しますが、それぞれ異なるパフォーマンス特性があります。
〇 This system provides a number of different sequential processing options. Each has different performance characteristics.
☓ This system provides a number of different sequential processing options. Every has different performance characteristics.

 

 

🔷副詞+everyの表現

almost、practically、nearlyなどの副詞とeveryを組み合わせて、たとえば「almost every person(ほとんどの人)」などの形をとることができます。ただし、eachの場合は、「almost each person」という表現はできません。

 

【例文】

Almost every computer science graduate has some knowledge of distributed algorithms.

コンピュータサイエンス学部の卒業生のほとんどは、分散アルゴリズムについてある程度の知識を持っています。

 

🔷 each and everyを使った表現

everyを強調するのに「each and every」を使って、「ありとあらゆる」いう感じを強調した表現にすることができます。

 

【例文】

Each and every AWS service that we create and use in our account automatically reports its metrics to CloudWatch.
自身のアカウントで作成および使用するありとあらゆる AWS のサービスは、それぞれのメトリクスを CloudWatch に自動的にレポーティングします。

 

 

🔷 「~ごとに」、「~おきに」の表現

「16ビットごとに」、「200 msおきに」などの表現に使います。

 

【例文】

Each thread can execute only one instruction every four cycles.
各スレッドは、4サイクルごとに1回だけ命令を実行します。

 

This class allocate an array of bits with one byte for every eight bits.
このクラスは、8ビットごとに1バイトのビット配列を割り当てます。

 

 

🔷 「1つおきに」の表現

「1つおきに」は、every other 単数、every second 単数、あるいはevery two 複数の形で表現します。

 

【例文】

This bitmask 0b01010101 is used to set every other bit in a byte.
このビットマスク0b01010101は、バイト内の1つおきのビットを設定するために使用します。

 

 

🔷 everyの否定

everyは「すべての」の意味ですが、「not every」で否定した場合には「すべてが~というわけではない」という意味になります。つまり部分否定ということになります。

 

【例文】

Not every detected error leads directly to the stop of the equipment.
検出されたすべてのエラーが直接装置の停止につながるわけではありません。

 

ちなみに、「not all」のように、allを否定する場合にも部分否定になります。

 

【例文】
Not all errors can be detected by ECCs and not all detected errors can be corrected.
すべてのエラーをECCで検出できるわけではなく、検出されたすべてのエラーを修正できるわけでもありません。

 

 

参考:

表現のための実践ロイヤル英文法

https://www.learn-english-today.com/lessons/lesson_contents/grammar/each-every.html