ここ数年で機械翻訳(MT)能力が非常に高まってきております。特にGoogle翻訳やMicrosoft Translatorなどの翻訳サービスは、ニューラルネットワークの仕組みを採用することで人による翻訳に近い翻訳ができるということです。
では機械翻訳の実力とはどの程度なのでしょうか。ニューラルネットワークを採用するGoogle Translator v2のAPIと従来の統計ベースと思われるYandexのAPIがどのように翻訳するのか、人による翻訳とどのように違うのか比較してみました。
以下が日本語の例文になります。
日本語の例文
マイコンが適切な時期と判断した場合、充電が開始され、充電インディケーターが点灯し、ディスプレイに充電中画面が表示されます。
翻訳結果
以下がMTによる英訳の結果です。
Google Translatorの結果をみると、一部軽い誤訳がありますが正しく翻訳されているようです。但し、冗長の言い回しになっているので訂正が必要だと思います。
1センテンスのうち6割程度の見直しが必要だと思います。この判断は人によって異なると思います。
一方、Yandex Translateの場合は、かなりの部分が誤訳であることと、文法的な誤りがあるようです。6割程度が誤訳なので、非常にレベルの低い翻訳のようです。
以下は人による翻訳です。
上記の翻訳者の例文でも少々問題があるようです。
上記のGoogle Translateと同様に、「マイコン」をmicrocontrollerと訳してます。この場合の「マイコン」は汎用CPUのことではなく、ある機械の制御に使っているmicrocontrollerまたはMCUのことを指しています。
また、本文は「適切なタイミングで充電が開始される」というのが趣旨なので、「充電インディケーターが点灯し、ディスプレイに充電中画面が表示されます」は付加情報として訳出しても良いかもしれません。
次の翻訳例はテクニカルライティングを勉強したことがある弊社の登録翻訳者の翻訳ですが、「充電インディケーターが点灯し、ディスプレイに充電中画面が表示されます」をwith the charging indicator lit and the Charging screen shown on the displayという感じで付帯状況として説明してます。
上記の結果から、Google Translationの翻訳は完璧ではないが、手直しをすれば使えるレベルであることがわかりました。
一方、Yandexの方は一昔前の翻訳ソフトのレベルで実用レベルではありません。
この結果だけをみると、Google Translationと翻訳者の実力の差があまりないように見えます。
なお、テクニカルライターが訳出した翻訳は、機械翻訳非常に異なります。
今後、機械翻訳の存在感がますます大きくなり、翻訳のビジネスが大きく影響されると思います。各翻訳会社は機械翻訳の利用をどのように考えているのでしょうか?